近年、ふるさと納税も非常に認知度も高くなり活用する人も増えていますよね。
今回、23年6月末に総務省よりふるさと納税の制度について改正が発表されました。
ふるさと納税について、しくみから解説内容までしっかり解説していきます。
ふるさと納税ってなに?
そもそも、ふるさと納税は2008年5月からスタートした制度で15年目。
「普段支払っている住民税。お世話になっているところや応援したいところに納めるしくみがあってもいいんじゃないか。」という思惑からスタートしたそうです。
そして、一番の売りとなったのは…
自分の選んだ自治体に寄附することで、自治体からお礼(返礼品)が貰える。
そして、寄附額のうち2,000円を越える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です。
勘違いされがちで注意したいのは、決して納める税金が減るわけではありません。返礼品受け取りメリットはありますが、節税ではないということです。
ふるさと納税の実態
2008年5月に導入されて以来、非常に認知度も高くなり活用する人も増えました。
総務省によると令和3年度は金額は約8,302億円、件数は約4,447万件もの活用があったそうです。
ふるさと納税に人気の市町村はどこ?
同じく、総務省の資料によると令和3年で件数、金額トップだったのは。
北海道の紋別市。北海道の北側に位置し、ホタテなど海鮮の返礼品が人気な様子。
5自治体までならふるさと納税ワンストップ特例制度
しかし、このような寄付を行うと本来確定申告をして申請する必要があります。
それでは面倒!ということで。
平成27年よりふるさと納税ワンストップ特例制度というものができました。
5自治体までの寄付に限り、活用しますと申告することで確定申告が不要になるシステム。
これにより利用がその年は前年比4倍以上と、さらに利用が広まりました。
次に、今回行われる改定について解説します。
改定を発表した総務省:ふるさと納税改定事項
2023年6月に総務省よりふるさと納税制度に関する改定事項が発表されました。
- 自治体は毎年総務大臣からふるさと納税活用の指定を受けなければならない。
- 募集適正基準の改正、総経費5割以下ルール。
- 加工品のうち熟成肉と精米基準の厳格化。
- ルール適用は10月から。
私たちに影響があるのは、2番目3番目ですね。
一つずつ中身を見ていきましょう。
返礼品の中身がちいさくなるかも?総経費5割以下ルール
ふるさと納税は、実質的に2千円で高価な特産品をもらうことができることもあり人気拡大。
返礼品には、返礼率3割ルールというものがありました。
人気拡大によって各自治体の寄付獲得争いに。オーバーする自治体も増えたりするなか、2019年には、経費を寄付の5割以下とするルールが定められました。
その結果21年度の平均経費率は46・4%だったようです。
しかし、2021年は上位20自治体のうち13自治体が50%を超えていたことも判明。さらに、「隠れ経費」の存在も指摘。
隠れ経費とは、お肉などの製品の仕入れ経費や送料の他にかかっている、寄付金受領証明書を発行する際の費用やワンストップ制度の手続きにかかる事務費などのこと。
これを含めると5割以上になる自治体がさらに増えるという事でした。
ワンストップ特例事務や寄附金受領証の発行などの付随費用も含めて寄附金額の5割以下とする。
という基準が明確に。これまで含まれていなかった隠れ経費込みで5割というルールに。
今年は返礼品の中身が少量になったりという自治体もあるかもしれませんね。
加工品のうち熟成肉と精米基準の厳格化ってなに?
食品のうち、熟成肉や精米について。これまでは、加工や製造の主要部分を自治体内で行っていれば返礼品として認められていました。
つまり、お肉やお米は外国産や他都道府県であっても問題なかったわけです。
今回の改定では、その原材料も同じ都道府県産であることが必要になりました。
これにより取り扱いがなくなるところもあるかもしれませんが、産地が明確になって嬉しい人もいるかもしれませんね。
いくらふるさと納税につかえるのだろう
基本的には、限度は納めている税額までとなります。
総務省やいろんなところがシミュレータを置いているので活用してみるのも一つですね。
一例を見てみましょう。
本人給与所得 | 独身・共働き家庭 | 配偶者専業主婦(夫) |
---|---|---|
300万円 | 28,000 | 19,000 |
400万円 | 42,000 | 33,000 |
500万円 | 61,000 | 49,000 |
600万円 | 77,000 | 69,000 |
700万円 | 108,000 | 86,000 |
800万円 | 129,000 | 120,000 |
900万円 | 152,000 | 143,000 |
1000万円 | 180,000 | 171,000 |
ふるさと納税は収入高の方がたくさん恩恵。転職して年収を高めに行きませんか。
住宅ローン減税などの活用は注意しながら考えよう
住宅ローンなど他で所得控除や減税を受けている人も多くいると思います。その計算にも関わってくるので注意しておきましょう。
住宅ローンについて。
住宅ローン控除、変更点や新築や中古の条件、申告までわかりやすく解説 – みみるの資産形成 (mimiru-investment.com)
医療費控除について。
[FPな話]医療費控除、対象範囲と計算、確定申告時のポイント – みみるの資産形成 (mimiru-investment.com)
それでも魅力的な制度には変わらない
確かに、今回の改定によって返礼品の量や質が下がる可能性はあります。
さらに、魅力ある返礼品がある自治体に寄付が集中しやすいという課題もあることも間違いありません。
しかし、現時点において税金の納め方を変えることによって、返礼品が貰える制度には変わりはありません。
活用できる人は活用できるうちに活用するのが得策ですよね。収支と各種控除のバランスを見てしっかり考えていくことが大事です。
来年支払う予定の住民税を前倒して、別の自治体に払うことによって、返礼をもらう。という実態にモノが貰える点が好評になりました。