レバレッジナスダック100、通称レバナスを保有する人には待ち遠しかった人もいるでしょう。
ついに、QLDという米国ETFがついに日本に上陸しました。
SBI証券では23年7/28から、マネックス証券では31日から取り扱い開始。
今回は、QLDの仕組みやレバナスとの違いをあらためてわかりやすく解説します。
QLDはナスダック100に日々レバレッジ2倍かけたETF
QLDはティッカーコードで、正式にはProSares Ultra QQQといいます。
通常のナスダック100指数に連動する、QQQというものがあります。さらに、日々2倍のレバレッジを掛けて運用する、ということですね。
- QLD:ProSares Ultra QQQ。
- 株価:68.91ドル(23年7/28)。
- 経費率:0.95%
- 純資産:55.01億ドル(23年7/28)。
あらためてナスダック100のおさらい
さて、QLDの仕組みの前にナスダック100ってどんなものだったでしょう。あらためて確認します。
アメリカの指数で有名なNYダウ。そして、S&P500、さらにナスダック。
ナスダック100はナスダック市場の中のトップ100の銘柄を指しています。
※細かい諸条件などはあるので完全トップ100ではありません。
アップルやマイクロソフト、アルファベットなどビックテックと呼ばれる銘柄たち。そのハイテク成長の恩恵を一身に受ける可能性があるものですね。
上位銘柄の構成比を見ていきます。
キャンペーン用LP現在の組入割合
特別リバランスはありましたが、GAFAMなど上位銘柄で多くを占めているのがわかります。
さらに、情報技術などハイテクの割合が非常に多いことがわかりますね。
QLDの仕組み①先物取引を使ってレバレッジをかける
ここから、QLDの仕組みに移っていきます。
まず、QLDはナスダック100の日々2倍レバレッジをかけている、というものです。
QLDの仕組みとしては先物取引を活用して資産の200%分のナスダック100を保有している。ということです。
SBIFXより。
しかし、何もコストなく200%ものポジションを取る事はできません。
まず第一に、先物には次のような計算があります。
先物理論価格 = 現物価格 + 短期金利 − 配当金。
先物とは、将来○○という値段で売買するという約束事を言います。いくらかの保証料は必要ですが、現時点ですべてのお金が必要ではありません。手元に資金がない状態でも大きな取引ができるのが先物です。
しかし、売り手にとっては将来の日までお金が入ってきません。少なくともその分を定期預金や国債で運用していたら利息が貰えたのに。
それでは売り手に不利すぎますよね。そこで、買い手には短期金利分を上乗せするという決まりができたのです。
よって、レバレッジをかけるにはまず短期金利×レバレッジの倍率分、調達コストがかかるということです。
つまり、もしも株価がずっと横ばいだったら先物は金利分だけ現物に負けていくということですね。
QLDの仕組み②残った資金で国債などで運用し調達コストを下げる
先ほど、先物は少ない資金で大きな取引ができるという事を述べました。
しかし、残った資金を遊ばせておくわけにはいきませんよね。
QLDも、その間、多くは短期国債(3か月物など)で運用を行い金利収入を得ます。
金利収入と先ほどの先物調達コストが相殺される。よって、実質QLDでは短期金利の1倍相当が調達コストとなります。
次に、レバナスとの違いを見ていきましょう。
レバナスとの違い①投資信託かETFか
レバナスは投資信託です。ネット証券では購入時手数料、解約手数料ともにゼロ円となっています。
一方、QLDはETF、つまり株式と同様に扱われます。
今回導入開始のSBI証券やマネックス証券では売買手数料税込:0.495%最大税込22米ドル。
これが買いと売り両方にかかります。
また投資信託など証券会社によっては保有することによってポイントがついたりします。ETFではもちろんもらえません。
都度都度のコストやポイントの観点では投信に軍配か。
レバナスとの違い②為替ヘッジ
現在、市場に出ているレバレッジナスダック100(レバナス)は大和、楽天、au、NZAMの4本。
いずれも為替ヘッジありという特徴があります。
では、為替ヘッジは為替リスクを抑えるために行う事ですがどんな影響があるのか。
為替ヘッジが及ぼす影響を深堀しよう
為替ヘッジを行うには、為替ヘッジコストがかかります。
それは、日米の短期金利の差、これがヘッジコストとなります。
現在米約5%、日本約0%と差し引き5%が1年間の為替ヘッジコストとなります。
- QLDの仕組み②で行った調達コストを下げることができない。
- 先物の保証金となる資金にも為替ヘッジコストがかかる。
為替ヘッジコストが大きな重しとなります。
よってQLDと比較して、残った資金に対する為替ヘッジコスト。そして、先物の補償金に対する為替ヘッジコストが余計にかかるという事です。
大和アセットによると、先物の証拠金は全体の4割程度とされています。
よって、23年7月時点では、QLDの先物調達コストは約5%、レバナスは約10%となっているいうことです。
もちろん、ヘッジをかけることで為替の変動リスクを抑えることができます。今後大きく円高に振れると考えるならつけた方が得策でしょう。
今後、日米金利差が縮小すればコストは和らぎます。さらに、もし日本の方が金利が高くなればヘッジプレミアムとしてむしろプラスに働くことも。
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あらためてQLDとレバナスの違いを一覧にしてみました。
レバナス | 項目 | QLD |
---|---|---|
2倍 | レバレッジ | 2倍 |
円建て | 通貨 | ドル建 |
かからない(ネット証券) | 手数料 | 0.495%(最大22ドル) |
1日1回 | 値段 | 米国取引時間中変動 |
買いか売りのみ | 注文 | 成行・指値・逆指値可 |
100円から | 価格 | 1株現在66.87ドルから |
可能 | 積立 | 可能 |
米休日に加え売買不可日あり | 売買不可日 | 米休日 |
短期金利×2 | 理論上の先物調達コスト | 短期金利×1 |
あり(ヘッジコスト) | 為替ヘッジ | なし |
1,377億円 | 時価総額 | 53億ドル(7,000億円以上) |
2018年10月(大和) | 運用開始 | 2006年6月 |
0.44%(au信託報酬) | 経費率(信託報酬) | 0.95% |
可能 | 現行NISA | 可能 |
不可 | 新NISA | 不可 |
SBIやマネックスでは米国ETF積立ができますが、○○円で買える株数を買うという形。よくいうドルコスト平均とは異なる点に注意。
さらに金融庁はレバレッジでの長期投資に否定的のため新NISAの対象外となっています。
注意点、日々2倍レバレッジをかけること=2倍の成果ではない
レバナスやQLDは日々2倍レバレッジがかかっています。こちら金融庁の資料。
日々株価が上下の変動を繰り返すことによって、逓増・逓減という現象が起きます。その結果、指数の2倍の結果からは離れていくので注意しましょう。
まとめヘッジありならauレバナス・なしならQLDという形か
投資信託のレバナスでauレバナスは、まだ運用報告書が出ていません。しかし、大和などの例を見ると隠れコストを込みでも総経費率は大和を下回るのではないかと思います。
今後大きく円高に振れると考える人や、毎月100円から積立できる手軽さを好まれるならauレバナス。
基本ドル高基調、円高に振れても大きくないと考えるならQLD。など自分の考え方にしたがってどう選択するか検討していくのが大事ですね。
よりハイテクに特化した運用なら2244グローバルX USテックトップ20や
半導体の投資信託を保有して見るのも一つですね。
QLDやレバナス投資におススメ証券会社など
QLDはマネックス証券でも取り扱い開始になりました。レバナスと併せて取り組むのも一つ。
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