中間選挙、アメリカの重大イベントの仕組みや株価へのアノマリー

もうすぐアメリカ中間選挙ですね。

アメリカでの大きな政治イベントの一つであり、注目されています。そして、今回は中間選挙についてひも解きます。さらに、2022年中間選挙のポイントになりそうなところを考えていきます。

まずアメリカ中間選挙はいつ行われるの?

まず、最初にアメリカの中間選挙がいつ行われるのか。これはあらかじめ決められています。

大統領の任期2年目の11月、第一月曜日が含まれる週の火曜日

となっています。

2022年は11月8日(火)に行われる予定です。

連邦議会選挙の仕組みを確認しましょう

アメリカの連邦議会は上院と下院に分かれています。次の表で違いを見ていきましょう。

まず、上院の定員が100人。次に、下院が435人となっています。

そして、それぞれの任期を見ると上院が6年で下院が4年となっています。

さらに、選挙の方法に違いがあり、上院は3分の1の33人ずつが2年ごとに改選されます。
そして、下院は435人全員が4年ごとに一気に改選となります。

議席配分にも特徴があり、上院は50州でそれぞれ2人ずつという割り振り。
そして下院は人口によって州で割り振っています
例えばアラスカ州が最小の1人、最多はカリフォルニア州の55人となっています。

現在の各議院の政党のバランスはどうなっているか

上院下院ともに勢力は拮抗しており、特に上院は50対50。下院は民主党がやや多い状態です。

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次に、これらを踏まえ22年中間選挙のポイントになりそうなところを確認します。

上院は民主党・下院は共和党が優勢になりやすいのではと言う声

まず、今回上院は民主党、下院は共和党が優位になるのではないか、と言う声があります。

なぜ、そのような考えになるのでしょうか。それは今回の選挙事情があります。

まず、上院について。今回の改選議席は35となる予定です。
そのうち民主党議員が14人、共和党議員が21人が改選対象となっています。

もし、五分五分の結果だったとしても上院は民主党が多数派になる、ということです。

さらに、50対50だった場合、採決で同数となっても民主党である副大統領が最後の1票を投じるので、事実上4割勝てれば上院での体裁は一応保てることに。

一方、下院の事情はどうでしょうか。ほぼ同数の現状ですが、今回民主党から現職が30人以上引退するとされています。今のバイデン大統領の支持率から見ても民主党は苦戦になるかもしれません。

その結果、下院は共和党に優位に働くのではないかと言われています。

もともと中間選挙では与党が不利になりやすい傾向

三菱UFJ銀行 (mufg.jp)

もともと、これまでの中間選挙の結果を見ると、大統領支持率60%を上回っていても、与党が議席を減らすことが多いという事がわかります。

2期8年大統領を務める人が多いにも関わらず、です。このような傾向があるということは知っておきたいですね。

争点となりそうな要因を考えていきましょう

2022年中間選挙の争点となりそうな話題をいくつかピックアップします。

①景気対策・インフレ

②治安・銃規制

③人工中絶裁判

ただし、あくまでこれらは筆者の考えであり、政党や政治思想の支持などを表すものではありません。

①景気対策・インフレ=共和党に優位?

まず、今アメリカ経済を悩ませているのが高インフレ。

CPI消費者物価指数などもなかなか収まる兆候が見えません。

[米国株]消費者物価指数CPIとは、アメリカのインフレ抑制へ – みみるの資産形成 (mimiru-investment.com)

CPIの様子などは、過去の記事を参照いただけると嬉しいです。

大幅利上げによる景気への不安は、有権者にとって不安材料。タイミングの問題もありますが、利下げにより株価上昇と強いアメリカを演出したトランプ前大統領の印象は強いですよね

よって景気・インフレという意味では共和党優位になるかもしれません。

②銃規制=民主党に優位?

2022年6月25日、アメリカで28年ぶりの銃規制法案が成立。これは民主党に優位に働く内容です。

これは、昨今の銃乱射事件などを踏まえ、21歳未満の購入の厳格化などが制定されました。

共和党は「全米ライフル協会」と深い関係があったため、この成立は共和党にとって不利に思えます。

しかし、共和党の上院議員マコネル氏など10人以上が賛成に回りました。その結果、どれだけ影響するか。

トランプ前大統領は銃規制反対の立場を強く表しています。よって、民主党優位と考える内容です。

③人工中絶合憲判決の覆り=民主党に優位か

2022年6月、これまでアメリカで女性の人工中絶兼を合憲としてきた判決が覆されました。

よって、50年以上憲法で中絶の権利が保障されなくなったことで州ごとに合法か決められます。

その結果、今後州によってはトリガー法の発動。そして、中絶の禁止や大幅な制限が課されることになりそうです。

この「ロー対ウェイド法」という判決の覆りは、共和党に要因があると言われています。

これを決定した最高裁判所の判事は「カトリック系の保守派」の立場です。
中絶=殺人という考え方の判事は、共和党が当時指名、承認をした人になります。

よって、女性などの票が民主党に流れるかもしれません。

40%程度と支持率の上がらないバイデン大統領

ここへきて、バイデン大統領の支持率があまり高まっていません。

https://www.dir.co.jp/

例えば、インフレ抑制法案の成立や半導体業界支援のためのCHIPS法などのを成立させています。残りの期間で支持を広げられるか注目されますね。

“バイデン大統領は信認を得て、トリプルブルーを維持できるか”

まず、トリプルブルーというのは、大統領・上院・下院が全て民主党系であるということです。

全て同じ政党系である方が、政策運営はしやすいですからね。

ただし、アメリカはねじれ状態になることは決して難しくありません。
バイデン大統領がどのように評価されているのか。結局はそこが一番の課題になりそうです。

中間選挙の翌年は株価が騰がるというアノマリー

中間選挙の翌年、つまり大統領選の前年は株価が上昇しやすい。そんなアノマリーがあります。

1946年から2021年まで、大統領選・大統領選前後・中間選挙の年ごとの平均騰落率を見てみましょう。

ちなみに1946年から2021年までの全期間の平均年騰落率は+9.0%だそうです。

これを見ると、圧倒的に大統領選前年が上昇が力強く、中間選挙年は弱いことがわかりますね。

2023年は大統領選前年です。2023年はアノマリー通りの大幅上昇が来るかどうか楽しみですね。

トランプ前大統領の再出馬なるか

もし、共和党がいい結果を納めた場合。トランプ前大統領が2年後の大統領選に再度出馬すると噂されています。重要文書を持ち帰ったなど法務リスクはあります。しかし、政策の良し悪しはぬきにして、再出馬を表明し共和党が勢いづく場合、株価にとっては追い風材料となるかもしれません。

まとめ

アメリカの中間選挙について、連邦議会の仕組みも踏まれてみていきました。

地区・州などによっても考え方は異なり、どの政策が重視され投票されるかはわかりません。

しかし、バイデン大統領にとって、この2年間に対しての中間試験のような役割。という位置づけでもあります。

アメリカ国民はどのような判断を下すのか、そして共和党トランプ氏の動向もきになるところです。

株価にとっては、アノマリーとしては中間選挙は上昇が期待しづらい年。2022年はハイペースな利上げもあり、非常に弱いですよね。よって、中間選挙の翌年、つまり大統領選前となる2023年に期待したいですね。