[FPな話]令和4年度雇用保険料率引上げ、その推移とできること

2022年は段階的に雇用保険が引き上げられます

まず引き上げられたのは4月、これは事業者を対象に行われました。

そして10月、今度は事業者の負担分の再引き上げが行われます。さらに労働者の雇用保険料も引き上げとなります。

しかし、なぜこのような引き上げラッシュに繋がったのでしょうか。

きっかけはコロナ禍による雇用調整助成金と言われています

2020年から猛威を振るったコロナウイルス感染症。政府はコロナ禍で働けなくなった人、事業者への救済措置を取ってきました。

詳しくは厚生労働省ページを参照ください。

雇用調整助成金(新型コロナ特例)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

事業者が払う休業手当、それを最大1人あたり15,000円を助成してきました。

特に「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」時の協力金が印象深いですよね。

そして政府がこれまで助成金を出した累計は22年9月初旬時点で6兆円に到達しました。

特に、経済が落ち込んだリーマンショック時は1兆円程度だったと言われています。比較すると莫大になっているのがわかりますね。

雇用保険制度 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

その結果雇用保険の収支が急激に悪化。積立金も平成27年頃の6.4兆円ありました。

しかし、令和2年度では半分以下の2.7兆円となっています。

その結果、徐々に財政としても厳しくなる。よって2022年の改定に踏み切ることとなりました。

雇用保険率を確認しましょう①これまでの動き

比較的余裕のあった2017年以降、雇用保険料が減額されていたのが2022年3月までの数字です。

2022年3月まで事業者支払い内訳
労働者事業者
①+②
①失業保険
育休への保険料
②能力開発や
助成金
合計
一般の事業0.30%0.60%0.30%0.30%0.90%
農林水産業

清酒製造業
0.40%0.70%0.40%0.30%1.10%
建設業0.4%%0.80%0.40%0.40%1.20%

まず、4月に事業者のところのみ引き上げられました。

そしてその率は能力開発や助成金にかかる分、0.05%でした。

4月から9月事業者支払い内訳
労働者事業者
①+②
①失業保険
育休への保険料
②能力開発や
助成金
合計
一般の事業0.30%0.65%0.30%0.35%0.95%
農林水産業

清酒製造業
0.40%0.75%0.40%0.35%1.15%
建設業0.40%0.85%0.40%0.45%1.25%

そして2022年10月、今度は労働者・事業者ともに雇用保険料率が引き上げられます。

雇用保険率を確認しましょう②これからどうなる

10月から事業者支払い内訳
労働者事業者
①+②
①失業保険
育休への保険料
②能力開発や
助成金
合計
一般の事業0.50%0.85%0.30%0.35%1.35%
農林水産業

清酒製造業
0.60%0.95%0.40%0.35%1.55%
建設業0.60%1.05%0.40%0.45%1.65%

つまり、2022年3月までと比べて、労働者は0.2%。さらに事業者は0.25%引上げになるという事。

雇用保険料率の引き上げで実際どれくらい変わってくるのか

2022年10月の引き上げで労働者は全体として0.2%の雇用保険料率引き上げになります。

大事なのは、手取りでなく支給金額に対してかかるということ。

その結果、どれくらい影響してくるのか。実際のところを考えてみます。

まず月給が30万円だった場合。

労働者は9月までは0.3~0.4%の普段でした。よって900円~1,200円毎月負担していた形です。

しかし、今回の改定で0.2%上乗せされました。

よって、0.5~0.6%になり、月々1,500円~1,800円の負担になります。

つまり、月600円程度の負担増、年間7,200円の負担増に。

たかが600円、されど600円です。もちろん所得が上がればその金額も上がります。

https://www.mcdonalds.co.jp/

つまりはビックマックセット(690円)が毎月1回食べられなくなる計算に。

さらに事業者にとっても一人一人が0.25%引き上げとなり大きな負担になりますね。

上がるものはしょうがない、節税などで努力する

雇用保険料率引き上げは、制度なので抗いようがありません。

しかし、節税などによって還付の意識を高めていきたいですね。

例えば、運用をしつつ所得税を抑えることができるiDeco

iDeCo(個人型確定拠出年金)のしくみと2022年の改正ポイントを確認しよう – みみるの資産形成 (mimiru-investment.com)

また、家族で医療費がかかる家庭なら医療費控除。

[FPな話]医療費控除、対象範囲と計算、確定申告時のポイント – みみるの資産形成 (mimiru-investment.com)

使える制度はどんどん活用していきたいですね。

よろしければ参考に上記記事もご覧ください。

まとめ

10月の雇用保険料率引き上げによって、手取りがいくらか減ることが確実になります。

しかし、コロナ禍の雇用調整助成金で多くの方が助かった面もあります。

今後できることは、いかに節税による還付を受けるか。また運用によって資産を増やすか。といったことが大事になりそうですね。

つまり制度改定の中でできることをしっかりやっていく、これが一番必要な事ですね。

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