インフレ懸念で2022年大きく下落している米国株。その中でも景気後退(リセッション)への懸念が高まっています。
銅価格の推移にフォーカスを当てて考えていこうと思います。
“炭鉱のカナリヤ”という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
かつて、炭鉱で有毒ガスが発生するとカナリヤは歌を止める。という性質から危険を事前に察知できる動物として重宝されたようです。
〇〇が起こると悪い事が起きる前触れ、という話を何か聞いたことがあるのではないでしょうか。
景気を判断する中でも、このような先行指標がいくつか存在します。
🌸銅価格(ドクターコッパーとも言われます)
🌸債券の長短金利差(逆イールドが話題になってますね)
🌸債権の信用スプレッド(社債、ハイイールド債の利回り上昇。)
などなど。
これらは景気後退を事前に感じ取るためのものとして見られています。
今回はその中でも銅価格、ドクターコッパ―について取り上げていきます。
なぜ銅価格の動きが、景気の目安になるのでしょうか。
私たちの生活でも10円玉などの硬貨を筆頭に、キッチン器具やかんなどで目にする機会もある銅製品。
銅は①加工のしやすさ②熱や電機の通しやすさなどの特徴がある事から、
電線やモーター、電化製品や半導体といった産業と、特に密接な関係があると言われています。
好景気なら・・・設備投資意欲が高まる。つまり銅の需要が高まっていく。
不景気なら・・・設備投資どころか、産業界の需要が減るので価格は下がっていく。
多くの分野で銅需要が先行して変化していくということです。
景気後退の前触れとして銅価格が参考となった事例をいくつか見ていきます。
事例その①リーマンショックと銅価格
大きな景気後退で思い浮かぶのがリーマンショックだと思います。
その時の銅価格はどのようなものだったのでしょうか。
リーマンブラザーズが突如破綻したのは2008年9月15日のことでした。
独立行政法人JOGMECのレポートからの引用した銅価格の動きです。
2008年7月から急落し始めていますね。
リーマンショックが起きるまでに2か月で2割程度下落してます。
2007年終盤あたりからサブプライムローンについて言われだしていたようです。
2007年秋口からの下落もそれを示唆していたのかもしないですね。
事例その②;コロナショックと銅価格
2020年中国武漢から始まった新型コロナウイルス感染症。発生当初はあまり関心が高くなかったですが、パンデミックが起こり一気に景気後退へ押下げたのは記憶に新しいところですね。
銅価格は横ばいから上昇の動きを見せていたものの、最初に武漢で発見された12月頃から既に一度急落していました。
株式市場が大きく騒がれたのは2021年3月になってからでした。
サーキットブレーカーが発動し、大きな下落を経験したのは2021年3月16日。
2022年6月から銅価格は急落中、今回はどうなっていくか
直近のLME銅価格は2020年11月以来の7,000ドルを一時割り込む水準。
6月に急落しはじめ、7月に入ってからも下落が続いています。
このことは今後の景気後退が加速していくのでしょうか。考えてみようと思います
見通しを考えてみる。中国の景気減速とアメリカの利上げ環境
まず先行して、銅需要が大きい中国について。
中国は、15日に第二四半期のGDP成長率が0.4%と非常に低い数値をたたき出しました。
アメリカも利上げを行っていますが、“経済が強い状態であること”を前提に行われています。
中国はゼロコロナ政策の行方にもよりますが、景気後退は避けられない状態に来ていると思います。
アメリカも景気が腰折れとなれば、インフレが残るスタグフレーションの懸念も発生します。
アメリカは2022年7月26.27日にFOMCが行われ、その翌日28日に第二四半期のGDPが発表されます。
利上げ幅はQTはもちろん大事ですが、GDP成長率の動向によっては本格的な景気後退も気になるところです。株価もすでに利上げによって下落していますが、一段安になるのか銅価格とともに意識しておきたいところですね。
まとめ
今回は銅価格が景気の先行指標として重宝されている背景と、実際の例を見てみました。
2022年7月現在銅価格は再度下落しており、今後の景気後退観測も高まってくるかもしれません。
この価格だけを見ればいい、というわけではないですが景気への警笛として意識してみるのも分析の一つとして、より深いものになるかもしれないですね。
にほんブログ村
コメントを残す