22年4-6月期のGAFAMの5社の決算出揃いましたが、明暗がくっきり分かれてきましたね。
成績を見ると減益が目立つ結果になりました。
売上高(前年比) | 純利益(前年比) | EPS(前年) | |
アップル | 829.6億ドル(+1.9%) | 194億ドル(-10.6%) | 1.20ドル(1.21ドル) |
マイクロソフト | 518.65億ドル(+12%) | 167億ドル(+1.7%) | 2.23ドル(2.17ドル) |
アルファベット | 696.85億ドル(+12.6%) | 160億ドル(-13.6%) | 1.21ドル(1.36ドル) |
アマゾン | 1212億ドル(+7.2%) | -20.3億ドル(赤字) | -0.2ドル(0.76ドル) |
メタ | 288.22億ドル(-0.9%) | 66.9億ドル(-35.7%) | 2.46ドル(3.61ドル) |
GAFAMで増収増益となったのは実はマイクロソフトのみ。
今回は発表された5社の決算のポイントになる点をまとめました。
各企業のIRページへのリンクも貼ってありますので、興味のある方は企業の実際のものを参照ください。
アップル:iPhoneは引き続き堅調も、7四半期ぶりの減益
アップル3Qは売上高829.59億ドルで2%増、EPS1.20ドル-11%となり、
成長鈍化位に加え、7四半期ぶりの減益となる。
🌸iPhoneの売上
中国ロックダウンの影響もあったがiPhone13への需要が強く、マイナス予想がプラスに
🌸減速したMac・iPad
マイクロソフトにも言えることですが、中国ロックダウンやPC需要の減速の影響もあり減収。
iPadは半導体不足による供給面の問題もありそうですね。
🌸堅調なサービス部門
アプリや音楽配信で12%増加しコロナの影響を受けづらい部分が着実に伸ばしました。
🌸気になるドル高リスク
アメリカ国内は比較的堅調、日本など海外はドル換算にすると減速に。金融政策からドル高がどこまで続くか。成長を押下げるリスク。
iPhoneの売り上げを維持できるかがポイントに。
マイクロソフト:徐々に悪材料解消へ、来期は2ケタの成長見込む
Microsoft Investor Relations – Home Page
マイクロソフトは4Q決算。売上高が前年同期比12%増、EPSが3%増。
事前予想:売上高14%増、EPS6%増を下回る。一つ一つ要因分析します。
🌸ドル高の影響を強く受けた。
特にドルユーロの影響が強く、Azureは40%の増収も為替影響を除けば48%だった。
🌸セグメント別売上
MPC部門:143.6億ドルと「Windows」中国ロックダウンやPC需要減速の影響を受ける。また広告支出縮小により「検索広告」が厳しい。
インテリジェントクラウド部門;209.1億ドルの売り上げで「Azure」を中心に堅調。景気悪化で中小企業中心にOffice需要減速と指摘。
プロダクティビティ&ビジネスプロセス部門:166.0億ドル、リンクトインからの収入が減少。
コマーシャルクラウド部門:250 億ドル
しかし、セキュリティのついた上位版「E5」はユーザー60%増加と素晴らしい結果に。
🌸利益率
法人向けクラウド粗利率69%と1ポイント低下。中身は耐用年数などの計算方式の変更により、実態ベースでは1%改善している。
🌸来期の見通し
売上高を10%増、営業利益を6%増と予想の中央値に収まる。
ドル高の為替・AzureやOfficeの利用量低下・PCの需要減速を懸念事項。
今回は人員調整のコストが1.13億ドル費用に上積み。
下期に改善予定で年間では売上・営業利益ともに2ケタ増加を見込む。
下落要因もはっきりし改善も見えやすく5社では期待したい。
アルファベット:不安を織り込むなかで、企業としての強さを見せる
Alphabet Investor Relations – Investor Relations – Alphabet (abc.xyz)
アルファベットは売上高が前年同期比13%増、EPSは11%減少。
🌸広告事業
広告事業全体では12%増加、youtubeでは5%増と前期より成長率は鈍化。
一部広告を抑制する動きが出る中、小売りや旅行業からの広告が業績を引っ張る。
🌸Google Cloud
グーグルクラウドは36%の増収となりクラウド需要の強さは続く。
🌸利益面
増収となったものの、研究開発費やマーケティング費用から営業費用は変わらず。
EPSが減益となったのは昨年に投資収益を計上したことによる反動と思われ、一時的とみられる。
🌸他社との優位性
スナップやツイッターが大きく広告収入を落とす中、アルファベットは収入を増やす。
google検索やyoutubeの優位性を示し広告選別に選ばれる強さがあり期待できそうですね。
アマゾン:AWSが大きな支えも2四半期連続の赤字
Investor Relations | Amazon.com, Inc. – IR (gcs-web.com)
アマゾンの売上は7.2%増の1212億ドルも、EPS-0.2ドルと赤字に。営業利益57%減は衝撃。
🌸AWSの好調
アマゾンの主力の稼ぎ頭となったAWSは33%増
売り上げでは全体の2割に満たないが、利益の大半をここで稼いでおり、AWSが強いのは好材料
🌸リヴィアンの要因
アマゾンが出資するリヴィアンオートモービルEVの評価損を計上したことが利益を押下げる。
🌸苦戦するネット小売り
アマゾンでの小売りはコロナ禍の巣ごもり消費の一服や燃料高による輸送コスト高、人件費増加によって苦しい状態が続いている様子です。
🌸アマゾンプライムの値上げによる価格転嫁
欧州でも約20%値上げを発表。日本もいずれくるかも?
🌸来期売上は13-17%増を期待。営業利益も黒字見込み。と回復に期待。
AWSでどこまで稼ぐことができるかがポイント、小売りのコストを補えるかどうか。
メタ・プラットフォーム:減収減益で見通しも厳しい
メタ・プラットフォームの売上は1%減 288.2 億ドル。EPSは-28.9%の
🌸顕著に出た景気減速による広告需要の弱まり
🌸メタバース関連の不調
リアリティラボ(RB)は28億ドルの赤字を出し、厳しい収益。
仮想現実(VR)ヘッドセット「クエスト」の収入も1Qから半減。
年内に発売予定の複合現実(MR)ヘッドセット「プロジェクト・カンブリア」はどうなる
🌸TikTokの脅威
若い人をちゅうしんとしたSNSのプラットフォームの移り変わりの懸念は続いてますね。
🌸広告としての地位
広告を出す側としては、エンタメやSNSよりも活用件数の多いGoogleなどに費用を投じがち。
まだまだ広告が本格復帰には時間がかかり、5社ではもっとも厳しい状態が続きそう。
まとめ
今回GAFAM決算の数字と、中身のポイントについてみていきました。
発表後の株価はアマゾンが大幅高、メタは大幅安など明暗が分かれる結果に。
株価の長期的上昇には業績も大事だと思います。単に数字の良し悪しだけでなく、要因もしっかり見ていくことが大事です。
今回が最悪期で7-9月はいい数字を残すことができるのか。引き続き注目したいですね。
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