昨日20年ぶりに1ユーロ=1ドルというパリティ(等価)価格に到達
ユーロは1999年に発足それ以来ほとんどの期間で1ユーロは1ドルよりも高い状態を続けてきました。
特にここ2年で大きくユーロ安が進んでいます。その背景からユーロドルの今後の見通しを考えています。
抱えている問題はアメリカも欧州も同じ、インフレ
これは欧州のインフレ率を表したものです。
ユーロ圏はエネルギーを中心に、インフレが加速しており。
22年は8.1%のインフレが予想されています。
さらに、ロシアがドイツにつながるヨーロッパ最大規模の天然ガスパイプライン、ノルドストリームの供給停止を発表。定期点検とのことですが、再開への懸念もあり天然ガス価格は上昇。さらなるインフレ要因として待ち構えています。
次にアメリカのインフレ率
アメリカも欧州と同様にエネルギー中心にインフレが進んでおり、現在8.3%のインフレ見込み。
同じようなインフレの状況に見えるのに、どうしてここまで通貨に差がついてユーロドルがパリティとなってしまったのでしょうか。
アメリカと欧州との違いはどこにあるのか
1大きく2つに分けて①そもそもの金利差②景気減速不安の度合いをみていきます。
①そもそもの金利
ECB:政策金利は0.00%。”これから利上げを行う”予定。
FRB:政策金利1.5%。既に利上げを3回行っていて、今後も強力に行う予定。
そもそもの金利差があり、かつ基軸通貨であるドルが買われやすくなるのは当然のこととも考えれますね。そしてそこに拍車を立てるのが・・・
②景気への不安度合いの違い
まず今のドル高に対してアメリカが思う所は、景気減速の懸念は抱えているのは事実。
しかしアメリカは非常に貿易赤字の大きい国。全体的にインフレだけども、ドル高に輸入によるインフレを抑えらえれるという景気にとってプラス効果と考えるところもあるかもしれません。
つぎに、エネルギーに対する経済的な影響度合いが挙げられます。
アメリカと欧州のエネルギーの輸入依存度の違い
日本や韓国、そして欧州はエネルギーの輸入依存度が高いのに対し、アメリカはほぼ自国で賄うことができているという事がわかります。
今の欧州はロシアとの問題もあり、エネルギー高、通貨安というのがそれだけ国には負担が大きくなるため景気減速リスクも高まる。それが景気減速不安に拍車をかけているとも見えますね。
そのためECBもFRBほど強い利上げに踏み切れないのではないか、と言われています。
まだまだユーロドルの今の流れは続くと考えます。
1ユーロ1.000ドルのところが非常に強い抵抗体になってはいます。
しかし
・世界の基軸通貨であるドルが先行して金利を引き上げている。
・エネルギー市場の混乱については欧州の方が影響を受けやすいと考えられる。
・欧州連合ユーロ圏27か国(うち19か国がユーロを法定通貨として使用)の経済力に大きなばらつきがあり、ECBもコントロールしづらい。
これらのドル高・ユーロ安要因から、短期的な節目での反発をこなしつつも今のこの傾向は継続すると考えます。